early in the rainy day

ほんの備忘録として。自分のために書いてみます。

さよなら、人類

『さよなら、人類』@YEBISU GARDEN CINEMA 

ヴェネツィア金獅子賞を獲得したという触れ込み以外、全く情報もなく鑑賞。結果、わからない。起承転結(そもそも、そういうものがあるのかすらわからない)すら見えず、ただただ場面の移り変わりを追うので精一杯といった始末。

監督はスウェーデンロイ・アンダーソン。ベルリンやカンヌで受賞歴がある実力派らしい。鑑賞後知ったことだが、彼は自前のスタジオで、ほとんどをマットやミニチュアによってこの作品を完成させたという。なるほど、次第に作品の見方が変わってくる。

観て知り得た限りでの彼の特徴は、まず1シーン1カットであることである。当然、シーンのすべての出来事を画面に収める必要があり、緻密な構図が要求される。さらに、同じフレーズが繰り返し発される。日本語では理解しえないのだが、これが韻を踏んでいる。きっと几帳面な監督に違いない。

これも鑑賞後知ったのだが、彼の構図はブリューゲルの絵画をモチーフにしているらしい。ブリューゲルからの呼びかけに対する、彼らしい気の利いた返事といったところなのだろうか。

最も不思議だったのは、最初に奇妙だとしか思わなかった登場人物たちの動きが、次第に”当然”のものに思えてくることだ。そして、いつの間にか彼の世界に入り込んでしまう。入り込んだことに気付いた頃には、もう逃げ出すことは出来ないのだ。恐らく、登場人物たちの行動を理解しようとすることなどは無駄な試みなのだ。人間の行動に理由があるのか?きっと、ない。理由なんてものを求めるのも、ひとり人間だけなのだろう。